【問題1】
子どもや若者は本来、素直に希望を語りやすいものです。それが大人になるにつれて、実現可能性についての情報を持つようになります。すると、「希望なんてどうせかなわない(注1)」というあきらめも生じやすくなります。また情報が少ない時代には持つことができた無邪気な希望も、高度情報化社会になると、そうもいきません。情報が多いと選択肢が増えて有利になる人もいます。しかし、自分に特別な才能がないと思う人には、希望なんてどうせかなわないと、思い知らされることのほうが、むしろ増えるのです。
情報化が進んだ社会の若者は、かつての若者以上に、希望の実現が困難であることを直観的に知っているように思います。その意味では、昔の子どもよりも、今の子どものほうが、夢や希望を持ちにくくなっているといえるかもしれません。
(注1)かなう:実現する
【問1】今の子どものほうが、夢や希望を持ちにくくなっているといえるかもしれませんとあるが、なぜか。
1. 高度情報化社会になり、昔と比べて情報が多いため |
2. 今の子どもは、素直に希望を語らないため |
3. 今は特別な才能を持つ子どもが減ったため |
4. 今はさまざまな選択の可能性が増えすぎたため |
【問題2】
私が子どもの頃、父に映画を見に連れていってもらったときのことです。見終わって父に「どうだった?」と聞かれたのですが、ことばが思い浮かびません。ためらった末、「べつに」と答え、父からひどく怒られました。
そのときは、「こんなことでなぜ?」と思ったのですが、せっかくの休日にわざわざ映画に連れて行って、子どもの喜んでいる声を聞きたかった父には、やるせなかったのでしょう。映画のよしあしよりも、発せられた問いに正面から向き合って答えられなかった私の声にあらわれた態度に、許しがたいものを感じたのでしょう。私の声の出し方と、その声から伝わったものが、父を不快にさせたのです。
でも、もし怒られなかったら、私はそのことに気づかなかったでしょう。このとき、ほかの人なら、きっと何も言わずに、ごう慢で、ぶしつけで、無気力で、いいかげんな人間だと私を判断したかもしれません。そして、黙って遠ざかっていったでしょう。
【問2】筆者が父に怒られたのはなぜか。
1. 筆者が、映画の内容が良かったと言わなかったから。 |
2. 筆者の声が小さくて、父にははっきり聞こえなかったから。 |
3. 筆者がすぐに父の質問に答えなかったから。 |
4. 筆者の声に、質問に答えようとする誠実さがなかったから。 |
【答え】
【問1】
1. 高度情報化社会になり、昔と比べて情報が多いため
【問2】
4. 筆者の声に、質問に答えようとする誠実さがなかったから。