【問題1】次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。
物を買う、という行為は、この国ではなぜかあまり褒められない行為のようにうけとられています。〈浪費癖〉だとか〈衝動買い〉だとか〈無駄遣い〉だとか、そういう言葉に表現されるように、必要以外のものを買う人間はあまりかんばしい評判を得られません。しかし、以前から思っていることなのですが、物を買う、ということは、決してただお金を浪費し虚栄心を満足させるだけのことではないような気がするのです。
何かいやなことがあって、むしゃくしゃした気分を抑えるためにショッピングをする人がいます。必要のないものにお金を遣うなんて愚かしい行為だと理性的な人は言うでしょうが、それでも人間の精神のバランスをとるために費用をかけたと思えば、①それはそれでいいんじゃないでしょうか。
人間は大人になって死ぬまでの間、お金のことで苦労しながら生きてゆきます。生まれながらにして無限の富を与えられた人は別ですが、ほとんどの人はお金の苦労というものでエネルギーを減らすことになります。そんな中で一瞬ふっと、お金のほうが主役で、自分はそれによってふり回されているつまらない存在のように感じられることがあります。
お金のことで苦労し、血と汗を流している人ほど、どういうものか無駄遣いすることがあるのです。一見、逆のようですが、②それはお金に対する人間性のささやかな反抗とでもいえるんじゃないでしょうか。お金を浪費する、やけっぱちになって紙屑のように遣う、そのことでもって、こちらのほうが主人なんだぞ、お金に使われるんじゃないぞ、と心の中でうっぷんを晴らしているのかもしれません。お金に復讐することで人間性を回復しようとしているのです。
【問1】①それはそれでいいんじゃないでしょうかとあるが、どういうことか。
| 1. ショッピングで必要なものを買ってもいい。 |
| 2. 何かいやなことがあってもいい。 |
| 3. むしゃくしゃした気分を抑えなくてもいい。 |
| 4. 必要のないものにお金を遣ってもいい。 |
【問2】②それは何を指しているか。
| 1. お金のことで苦労している人が、無駄遣いをすること。 |
| 2. お金のことで苦労している人が、無駄遣いをしないこと。 |
| 3. お金で苦労しないお金持ちが、無駄遣いをすること。 |
| 4. お金で苦労しないお金持ちが、無駄遣いをしないこと。 |
【問3】 この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
| 1. いやなことがあったら、買い物をして精神のバランスをとったほうがいい。 |
| 2. お金にふり回される人生にならないよう、お金の遣いすぎに注意すべきだ。 |
| 3. お金を浪費するのは、お金より自分のほうが主役だと言いたい気持ちがあるからだ。 |
| 4. お金を遣えば人間性が回復できるのだから、買い物にもっとエネルギーを注ぎたい。 |
【答え】
【問1】
4. 必要のないものにお金を遣ってもいい。
【問2】
1. お金のことで苦労している人が、無駄遣いをすること。
【問3】
3. お金を浪費するのは、お金より自分のほうが主役だと言いたい気持ちがあるからだ。
