【練習4】比喩

 【問題1】

 もちろん、人生には多少は苦しいこともあろうから、それはそれなりにやってよい。山を登るのに、汗をかくこともあろう。しかしぼくは、それを山頂をめざすためとばかり思うより、登り道のあれこれを、汗を流しながらも楽しむほうを好む。山頂の白雲に思いをはせることはあっても、それは夢でいろどりをそえるためで、やはり現在の登り道にこそ、楽しみはある。

 山頂を望み、そして山頂に達することで満足するだけでは、山だっておもしろくあるまい。まして、人生は山登りではない。山頂なんて定まっていない。

                  (森敦『まちがったっていいじゃないか』筑摩書房)

【問1】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。

1.山登りをするのは、人生を楽しむためであって、人生の目的ではない。
2.人生の目標に達することばかり考えず、今生きていることを楽しむほうがいい。
3.人生は山登りとは違うのだから、それほどおもしろいことばかりではない。
4. 山登りは、山頂に達することと、登り道を楽しむことにこそ意味がある。

【問題2】

 物体は激しく動けば、それだけ摩擦が大きくなる。人間だって、激しく動くと熱を持つ。はたから見れば、輝いている人間のことが、きっとうらやましく見えるのだろう。

 だけど、輝いている本人は熱くてたまらないのだ。

 星だって、何千光年という遠くの地球から見れば、美しく輝く存在だ。
「いいなあ、あの星みたいに輝きたい」
人はそう言うかもしれないけれど、その星はたまったもんじゃない。何度という熱で燃えている。しかも、燃え尽きるまで、そうやって輝いてなくちゃいけない。

 これは真面目まじめに、けっこう辛いことなのだ。
 カッコつけているわけじゃない。自分がそうなってみて、実感としてそう感じる。

                                                                                         (北野武『全思考』幻冬舎)

【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。

1.輝いて見える星のように、人もいずれは燃え尽きてしまう運命にある。
2.人は成功した人間を羨むが、本人は辛く苦しい思いをし続けている。
3.人は星のように輝いて初めて、生きることへの情熱が実感できる。
4.人間も物体と同じで、激しい運動をすれば摩擦で体が熱くなる。

 

【答え】

【問1】
2.人生の目標に達することばかり考えず、今生きていることを楽しむほうがいい。

【問2】
2.人は成功した人間を羨むが、本人は辛く苦しい思いをし続けている。

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