【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。
今の日本人の欲望は留まるところを知りません。常に新しい物を欲しがる。美味しい物ばかりに目移りする。身の丈(注1)以上の生活を求め続けている。そして子供には過度の期待をかけ、能力以上の成果を望む。果たしてそこに本当の幸福があるのでしょうか。
ほんのつい最近まで、日本人は身の丈に合った慎ましい(注2)生活を送っていました。少なくとも私が幼少の頃はそうでした。背伸びをすることなく、不満を口にすることなく、慎ましい暮らしの幸せを感じていました。
かつてのような貧しい暮らしが良いというのではありません。ただ、身の丈に合わない生活には、きっと大きな落とし穴がある。そんな気がするのです。
(注1)身の丈:身長
(注2)慎ましい:ぜいたくでない
【問1】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
1. 昔は貧しかったが、今は欲しい物が何でも手に入り、現代の日本人は幸福である。 |
2. 少し前まで日本人は貧しい暮らしをしていて、あまり幸福とは言えなかった。 |
3. 今の日本人は背伸びして良い生活を求めているが、それでは幸福になれないだろう。 |
4. 筆者が子供の頃は、自分の生活に満足しながら生活していて、幸福だった。 |
【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。
みなさんは、そもそも何のために文章を書くのでしょうか。
もし、私自身が同じ質問を受けたら、「自分を表現し、他者と関わりながら生きていくため」と答えます。学校の教科書や参考書をいくら読んでも、それだけでは他者との関わりは生まれてきません。知識として知ることと他者と関わるということは、質的に全く別次元のことだからです。知識をいくら積み重ねても、他者と関わることは永遠にできないでしょう。
理解し感動したことや一生懸命に考えたことを、拙くても(注1)いいから、試行錯誤(注2)しながらでもいいから、誰かにきちんと「伝える」練習をしてみましょう。それは、きっと社会に働きかけ、他の人々と共に生きていく練習にもなるでしょう。「書く」という行為は、静かに自分の内面を見つめることでありながら、同時に社会に向けて行動する第一歩にもなり得るのです。
(注1)拙い:下手だ
(注2)試行錯誤:いろいろやってみて失敗しながら目的に近づいていくこと
【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
1. 書くときには「何のために文章を書くのか」をよく考えることが大切だ。 |
2. 書くことは、誰かにきちんと「伝え」、社会に向けて行動することにつながる。 |
3. 教科書や参考書で勉強しても、知識が増えるだけで、書くことは上手にならない。 |
4. 書くことによって人は成長し、自分の内面を見つめられるようになる。 |
【答え】
【問1】
3. 今の日本人は背伸びして良い生活を求めているが、それでは幸福になれないだろう。
【問2】
2. 書くことは、誰かにきちんと「伝え」、社会に向けて行動することにつながる。