【練習6】指示語を問う

 【問題1】  人間は「私」の身体は周囲の自然から独立したものだと、思っている。「私」の皮膚ひふから外の世界は他者だ、と思っている。しかし、これは人間の個体意識が作りだした大きな錯覚だった。  人間の身体は、もともとすべての自然、すべての生命とつながったものだ。「私」はもともと「我々」だったのだ。科学技術を進歩させる過程で人間はそのことを忘れかけていた。しかし、宇宙飛行士たちは、科学技術の進歩の最先端で、逆にそのことを思い出し始めている。           (龍村仁『地球のささやき』角川学芸出版) 【問1】そのことは何を指しているか。 1.私の身体は周囲の自然から独立しているということ 2.科学技術の進歩の過程で人間が身体を忘れてしまったということ 3.科学技術の進歩の最先端にいるのだということ 4.私の身体は地球環境とつながっているのだということ 【問題2】  近所づきあいが薄れてくると、町内にどんな人が住んでいるかを知ることもできなくなってしまいます。特に、家に引きこもりがちな、災害弱者とよばれる人の情報は欠如することが多く、市町村の防災関係部局(注1)でさえも、災害時に支援の必要な市民について把握しているところは、25%しかありません。個人情報保護法の施行以来、プライバシーに関わる情報の管理はいっそう厳しくなっていて、災害弱者をますます孤立させてしまう傾向にあります。生命にかかわる災害救助には、情報の活用を許されているといいますが、そのような柔軟な対応は、あまりとられていないのが実情です。   (中田実ほか『町内会のすべてが解る!疑問・疑問100問100答』じゃこめっと出版) (注1) 防災関係部局:役所や役場で、災害を防ぐ仕事を担当している部や課 【問2】そのような柔軟な対応とあるが、その説明として最も適切なものはどれか。 1.災害弱者とよばれる人の情報をいつでも使えるようにすること 2.防災関係部局の救助法に関する情報を自由に使えるようにすること 3.災害救助のために災害弱者の個人情報を活用すること 4.プライバシーに関わる情報を防災に関係なく活用すること         【答え】 【問1】 4.私の身体は地球環境とつながっているのだということ 【問2】 3.災害救助のために災害弱者の個人情報を活用すること

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【練習5】疑問提示文

 【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。  一般に自由はどのように捉とらえられているだろう?  言葉の使われ方を観察すると、たとえば、自由行動、自由時間という場合、決められたスケジュールがない状態を示している。多くの人は「自由」を、「暇」とか「することがない」状態としてイメージしているかもしれない。  必ずしも、「自由」は素晴らしい意味には使われていない。仕事や勉強に追われていると、ついついゆっくりと休みたくなる。少しくらいは怠けたくなる。「一日中寝ていたい」というような欲求が、「自由」から連想される個人的な希望である場合が多い。  はたして、これが本当の自由だろうか?  もちろん「支配からの解放」であることにはまちがいがない。ただし、多くの人にとっては解放されること自体が、自由の価値になっている。解放されたことで何ができるのか、といった「自由の活用」へは考えが及んでいないように見える。                                                               (森博嗣『自由をつくる自在に生きる』集英社) 【問1】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1.自由は価値あるものと捉えられているが、実は、必ずしも良いものとは限らない。 2.自由というのは、決められたスケジュールから解放された状態のことである。 3.人は自由にあこがれるが、実際に自由になると、何もしたくなくなってしまう。 4.多くの人は自由を解放としか捉えていないが、解放されてどうするかが重要である。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。  では、いったい、装飾という側面から見た、人間と動物との決定的な違いは、どういう点にあるのだろうか。  このことについて、おもしろい意見を述べている人は、名高い『衣装論』を書いたエリック・ギルである。ギルの意見によると、人間と動物との違いは、人間が服を着ている点にあるのではなく、むしろ人間が服を脱ぐことができる点にある、というのだ。  動物にも、立派な服を着ている種族は多いのだけれども、人間が人間たる所以ゆえん(注1)のものは、自分の意志で、気の向くままに、服を着たり脱いだりすることができる自由、自分の好みに合わなければ、さっさと服を脱ぎ替える自由をもっている点にある。つまり、人間は、自分を満足させるために服を着るのであって、動物には、そういう自由はない、という意味なのである。  なるほど、そういわれてみれば、その通りにちがいなく、これは当たり前すぎるほど当たり前の話ではないか。ただ、「服を脱ぐ」という点にポイントを置いたところがおもしろく、こういう意見を、パラドックス(逆説)というのであろう。  着物ばかりではない。人間は室内装飾においても、住宅においても、アクセサリーにおいても、また髪型や化粧においても、自分の好みに合わせて、自由にこれを採用したり捨てたりすることができる。それだからまた楽しいのだ。異性との交友の場合だって、その通りだといったら叱られるだろうか。                                                                     (澁澤龍彦『夢のある部屋』河出書房新社) (注1)所以:わけ、理由 【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1.動物の中にも、立派な装飾をもっている種族が数多くいる。 2.人は「服を脱ぐ」ものだというのは、パラドックス的な見方である。 3.人間が動物と違うのは、装飾を自由に取捨選択できることである。 4.異性との交友まで装飾だと捉える見方は、一般的とは言えない。         【答え】 【問1】 4.多くの人は自由を解放としか捉えていないが、解放されてどうするかが重要である。 【問2】 3.人間が動物と違うのは、装飾を自由に取捨選択できることである。

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【練習4】比喩

 【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。  もちろん、人生には多少は苦しいこともあろうから、それはそれなりにやってよい。山を登るのに、汗をかくこともあろう。しかしぼくは、それを山頂をめざすためとばかり思うより、登り道のあれこれを、汗を流しながらも楽しむほうを好む。山頂の白雲に思いをはせることはあっても、それは夢でいろどりをそえるためで、やはり現在の登り道にこそ、楽しみはある。  山頂を望み、そして山頂に達することで満足するだけでは、山だっておもしろくあるまい。まして、人生は山登りではない。山頂なんて定まっていない。 (森敦『まちがったっていいじゃないか』筑摩書房) 【問1】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1.山登りをするのは、人生を楽しむためであって、人生の目的ではない。 2.人生の目標に達することばかり考えず、今生きていることを楽しむほうがいい。 3.人生は山登りとは違うのだから、それほどおもしろいことばかりではない。 4. 山登りは、山頂に達することより、登り道を楽しむことにこそ意味がある。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。  物体は激しく動けば、それだけ摩擦が大きくなる。人間だって、激しく動くと熱を持つのだ。端はたから見れば、輝いている人間のことが、きっと羨うらやましく見えるのだろう。  だけど、輝いている本人は熱くてたまらないのだ。  星だって、何千光年という遠くの地球から見れば、美しく輝く存在だ。 「いいなあ、あの星みたいに輝きたい」 人はそう言うかもしれないけれど、その星はたまったもんじゃない。何億度という熱で燃えている。しかも、燃え尽きるまで、そうやって輝いてなくちゃいけない。  これは真面目まじめに、けっこう辛いことなのだ。  カッコつけているわけじゃない。自分がそうなってみて、実感としてそう感じる。  (北野武『全思考』幻冬舎) 【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1.輝いて見える星のように、人もいずれは燃え尽きてしまう運命にある。 2.人は成功した人間を羨うらやむが、本人は辛く苦しい思いをし続けている。 3.人は星のように輝いて初めて、生きることへの情熱が実感できる。 4.人間も物体と同じで、激しい運動をすれば摩擦で体が熱くなる。           【答え】 【問1】 2.人生の目標に達することばかり考えず、今生きていることを楽しむほうがいい。 【問2】 2.人は成功した人間を羨むが、本人は辛く苦しい思いをし続けている。

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【練習3】言い換え

 【問題1】  胃の存在は、しばしば意識される。多くの人が、日常的に「胃が痛い」とか「胃が悪い」とか言う。だからといってそれが本当とはかぎらない。  指の先が痛いというのは、はっきりわかる。なぜかというと、脳には指に相当する知覚の領野が、ちゃんとあるからである。逆に、脳のその部分に、なにかが起これば、肝心の指はたとえなんともなくとも、われわれは指が痛いとか、かゆいとか、なにかが触ったとか、そういう判断をする。つまり体の表面に関しては、われわれは脳に地図を持っている。体表とは、外界とわれわれの体を、境さかいする部分だからである。そこはいわば国境のようなもので、脳という司令部は国境で起こることであれば、それが国境のどの部分で起こったできごとかを、明確に把握しているのである。  ところが内臓に関しては、脳にそういう地図はないらしい。そこは本来、「うまくいっている」はずの部分なのであろう。だから、脳はそこに関して、細かい地図を用意していない。それが用意してあれば、胃の小湾側しょうわんがわの噴門ふんもんから約三分の一の部分が痛いとか、幽門部ゆうもんぶの始まりの部分が輪状に痛むとか、見てきたようなことが言えるはずなのだが、もちろんそれは不可能である。  (養老孟司『からだを読む』筑摩書房) 【問1】この文章の内容として最も適切なものはどれか。 1.体表に関する痛みと内臓に関する痛みとでは、脳の把握のしかたに違いがある。 2.脳が地図を用意したことによって、体の痛みを明確に把握できるようになってきた。 3.指の先が痛いとの同じように胃が痛いと判断するためには、訓練が必要である。 4. 体表はいわば国境のようなものだから、内臓よりも体表の方を大切にするべきだ。 【問題2】  私の通った幼稚園には、幅二十センチほどの帯状の地獄があった。  それは「お弁当室」と呼ばれる部屋の戸口の床の、なぜかそこだけタイルの色が変わっている部分のことで、そこを踏むと地獄に落ちると言われていた。  どんな風に落ちるのかは誰にもわからなかったが、踏んだ瞬間に地面がガバッと裂けて、体ごと底なしの穴に吸い込まれてしまうのではないかというのが、園児たちのあいだでのもっぱらの定説だった。お弁当室には、毎日午ひるに各自お弁当を取りに行かなければならなかったので、そのたびにみんな決死の覚悟で「地獄」を飛び越えた。  (岸本佐知子『ねにもつタイプ』筑摩書房) 【問2】この文章の内容として最も適切なものはどれか。 1.筆者が通った幼稚園には「地獄」と呼ばれる部屋があり、園児たちはそこへ入ることをとても怖がっていた。 2.筆者が通った幼稚園には「地獄」と呼ばれる床があり、午ひるになると園児たちはその床を踏まなければいけなかった。 3.筆者が通った幼稚園の先生たちは、園児たちに床の一部を踏ませてはいけないと考えていて、そこを「地獄」と呼んでいた。 4.筆者が通った幼稚園の園児たちは、幼稚園の床の一部を「地獄」の入り口だと考えて、そこを絶対踏まないようにしていた。       【答え】 【問1】 1.体表に関する痛みと内臓に関する痛みとでは、脳の把握のしかたに違いがある。  【問2】 4.筆者が通った幼稚園の園児たちは、幼稚園の床の一部を「地獄」の入り口だと考えて、そこを絶対踏まないようにしていた。

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【練習2】対比②

 【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。  わたくしの目には、都市としての東京も大阪も大同小異(注1)の感があるのだが、日々まあこんなものかと東京と大阪を往ゆき来きして暮らしていると、ときどき《小異》の部分であっと驚く発見をすることがある。  先日、東京のある雑誌がもっとも《大阪らしい》都市風景を多角的に撮るという企画を立て、どこがいいだろうと相談を受けたわたくしは、迷わず大阪湾岸に広がる工場群と港湾施設と海風景をその一つに選んだ。(中略)  ところが、東京の編集者やカメラマンの驚いたこと、驚いたこと。いわく、なぜこんな岸壁(注2)へ一般市民が出られるのかというのだが、なぜ、と尋ねられてこちらが驚いた。出られるのが当たり前だとわたくしは思っていたし、現に釣りをしている人たちがいるのである。  しかし東京では、岸壁という形で海に近づけるのは、日之出ひので桟橋か竹芝たけしば桟橋の水上バスやフェリーの発着場だけだという。  今度はわたくしの方が、しばし考え込むことになった。東京も、大阪と同じく長い海岸線を持ち、同じように港湾施設や倉庫、工場がひしめき、埋立地うめたてちも多い。そのすべてが埠頭ふとうや桟橋という形で岸壁を持っているが、そのどこにも出られないというのは、嘘か真まことか。  これはどうやら真の話らしい。海岸線がすべて企業の私有地ないし港湾局の管理地になっているのは大阪と同じだが、違いは閉じているか否かである。東京はすべての出入り口が閉じられていて、大阪はほとんど開いているのである。                     (高村薫『半眼訥訥』文藝春秋) (注1)大同小異:細かい違いはあるが、だいたいは同じであること (注2)岸壁:船から荷物の積み下ろしなどができるように、海岸に造られた壁 【問1】この文章の内容として最も適切なものはどれか。 1.大阪らしい都市風景は海岸線の工場群と港湾施設で、東京の都市風景と似ている。 2.大阪人である筆者にとって、東京では海岸の出入口が逆向きであるのは驚きだ。 3.東京人は一般市民が岸壁に出られることを知らないが、大阪人は皆知っている。 4. 同じ大都市でも、大阪は海岸線の岸壁に自由に出入りできるが、東京はできない。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。  いつの頃からかおふくろの味、という言葉をたぶん世の男性たちが作り、その郷愁にこたえてそういう店もでき、もの珍しさに女の私も幾度かのぞいてみると、何のことはない里芋とこんにゃく、ひじきと油揚げの煮付け、ナッパのおひたしなどのことなのである。  要するにこれは昔のごく常識的な惣菜そうざい(注1)であって、何も母親に限らず隣りのおばさんでもうちの下女げじょでも手軽に作り、また町のおかず屋にでも並べられていたしろもので、今だってちょいと一言女房に頼めば家でもすぐ食べられる料理のことではないか。  ただ、見た目は同じであっても、私にいわせて貰もらえば今のこれらの料理の素材は、郷愁のなかの昔の味とは似て非なるもの、というべく、第一野菜の味からして全く別物なのである。戦前はどこの家でも野菜をたくさん食べたし、需要とともに味の注文も多ければ、農家も美味しい野菜作りに情熱を込めたものだった。(中略)  ところで、男性がおふくろの味にあこがれる原因に、主婦の家事の手抜きと子供中心の献立こんだてがいわれるが、私もその手抜き主婦の一人としていわせて頂くと、味覚というのは甚はなはだ流動的かつ身勝手なものとはいえないだろうか。つまり生活全般、現代と密着している人間の口に合うものといえばしょせん現代の味覚であって、今はもうないものねだりともいえる昔の味ではないのである。  おふくろの味ムードに付き合って、漂白(注2)のため皮が固くなり味を失った里芋を、全国画一のだしの素もとを使って煮ころがしてみたところで味気あじけなさを噛かみしめるばかり。                 (官尾登美子『もう一つの出会い』新潮社) (注1)惣菜:おかず (注2)漂白:日や水に当てたり、薬品を使ったりして白くすること 【問2】この文章の内容として最も適切なものはどれか。 1. おふくろの味といえば里芋料理だが、今の里芋は昔の里芋より味が薄くて味気ない。 2.おふくろの味は昔の時代の物で、現代人はそれをもの珍しく感じているだけである。 3.男性はおふくろの味を懐かしむが、同じ料理を作っても今は昔と同じ味にはならない。 4. 昔と比べて、今の料理が美味おいしくないのは、主婦が手抜きをしているからである。       【答え】 【問1】 4. 同じ大都市でも、大阪は海岸線の岸壁に自由に出入りできるが、東京はできない。 【問2】 3.男性はおふくろの味を懐かしむが、同じ料理を作っても今は昔と同じ味にはならない。

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【練習20】統合理解

 次のAとBは、同じコンサートについて書かれた文章である。AとBの両方を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 【A】  このコンサートはとてもありがたいです。小さい子供と一緒に行ってもいいコンサートは、なかなかありません。子供が小さいうちはコンサートに行くのは無理だと、今まであきらめていました。今回、久しぶりに生の音楽が聞けて、とても幸せな時間が過ごせました。親だけでなく子供にとっても貴重きちょうな機会でした。無料なのもありがたいです。是非これからも続けてくださいまうように。演奏えんそうの途中で子供が泣いて、隣りの席の人ににらまれてしまいましたが、赤ちゃんが泣くのはしかたがありません。泣なき声ごえが気になる方は、有料のコンサートへ行けばいいのではないでしょうか。周囲の人々ひとびとが子供のことをもっと理解してくださればと思います。 【B】  このような平日昼間のコンサートは非常にうれしい。ただ、そのやりかたを考え直してはどうだろう。せっかく一流の演奏者が演奏しているのに、会場が子供の声でうるさくては、音楽に集中できない。たとえ無料のコンサートであっても、会場の客はもちろん、演奏者に対しても失礼だ。「子供連れ可」というのは、子供が泣いても騒いでもいいということなのか。それなら「子供とその親に限る」コンサートにするべきだ。そうではなく今の形を続けるなら、騒がしくならない対策たいさくが必要である。例えば、子供連れの人々の席を出入でいり口ぐちの近くに作り、子供が騒いだときなどに会場を出やすくしてはどうだろう。演奏する人も聞いている人も音楽に集中できる環境かんきょうを作っていただきたい。 【問1】このコンサートは、どのようなコンサートだったか。 1. 小さい子供に音楽教育をするコンサート 2. 小さい子供が生の音楽を演奏するコンサート 3. 小さい子供を連れて入場できるコンサート 4. 小さい子供とその親しか入場できないコンサート 【問2】コンサートに対するAとBの意見について、正しいものはどれか。 1. AもBも、コンサートを今の方法で続けてほしいと言っている。 2. AもBも、コンサートの方法を変えればもっと良くなると言っている。 3. Aは今の方法で続けてほしいと言い、Bは方法を変えてほしいと言っている。 4. Bは今の方法で続けてほしいと言い、Aは方法を変えてほしいと言っている。             【答え】 【問1】 3. 小さい子供を連れて入場できるコンサート 【問2】 3. Aは今の方法で続けてほしいと言い、Bは方法を変えてほしいと言っている。

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【練習19】出張理解・(長文)

【問題1】次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。  物を買う、という行為は、この国ではなぜかあまり褒ほめられない行為こういのようにうけとられています。〈浪費癖ろうひぐせ〉だとか〈衝動買しょうどうがい〉だとか〈無駄遣むだづかい〉だとか、そういう言葉に表現されるように、必要以外のものを買う人間はあまりかんばしい評判ひょうばんを得られません。しかし、以前から思っていることなのですが、物を買う、ということは、決してただお金を浪費し虚栄心きょえいしんを満足させるだけのことではないような気がするのです。  何かいやなことがあって、むしゃくしゃした気分を抑おさえるためにショッピングをする人がいます。必要のないものにお金を遣つかうなんて愚おろかしい行為だと理性的りせいてきな人は言うでしょうが、それでも人間の精神のバランスをとるために費用をかけたと思えば、①それはそれでいいんじゃないでしょうか。  人間は大人になって死ぬまでの間、お金のことで苦労しながら生きてゆきます。生まれながらにして無限の富とみを与えられた人は別ですが、ほとんどの人はお金の苦労というものでエネルギーを減らすことになります。そんな中で一瞬いっしゅんふっと、お金のほうが主役で、自分はそれによってふり回されているつまらない存在のように感じられることがあります。  お金のことで苦労し、血と汗を流している人ほど、どういうものか無駄遣いすることがあるのです。一見いっけん、逆のようですが、②それはお金に対する人間性のささやかな反抗はんこうとでもいえるんじゃないでしょうか。お金を浪費する、やけっぱちになって紙屑かみくずのように遣う、そのことでもって、こちらのほうが主人なんだぞ、お金に使われるんじゃないぞ、と心の中でうっぷんを晴はらしているのかもしれません。お金に復讐ふくしゅうすることで人間性を回復しようとしているのです。 【問1】①それはそれでいいんじゃないでしょうかとあるが、どういうことか。 1. ショッピングで必要なものを買ってもいい。 2. 何かいやなことがあってもいい。 3. むしゃくしゃした気分を抑おさえなくてもいい。 4. 必要のないものにお金を遣つかってもいい。 【問2】②それは何を指しているか。 1. お金のことで苦労している人が、無駄遣むだづかいをすること。 2. お金のことで苦労している人が、無駄遣いをしないこと。 3. お金で苦労しないお金持ちが、無駄遣いをすること。 4. お金で苦労しないお金持ちが、無駄遣いをしないこと。 【問3】 この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. いやなことがあったら、買い物をして精神のバランスをとったほうがいい。 2. お金にふり回される人生にならないよう、お金の遣つかいすぎに注意すべきだ。 3. お金を浪費ろうひするのは、お金より自分のほうが主役だと言いたい気持ちがあるからだ。 4. お金を遣えば人間性が回復できるのだから、買い物にもっとエネルギーを注ぎたい。       【答え】 【問1】 4. 必要のないものにお金を遣つかってもいい。 【問2】 1. お金のことで苦労している人が、無駄遣むだづかいをすること。 【問3】 3. お金を浪費ろうひするのは、お金より自分のほうが主役だと言いたい気持ちがあるからだ。

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【練習1】対比①

 【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。  かつて私たちを規制したのは、国家思想とかイエの家父長かふちょう制度というような、はっきりと目に見える権力とか規制やモラルであったが、今私たちを支配しているのは、そのようなはっきりと目に見えるものではない。個人主義という美名の裏で、情報という「見えざる手」が大きな手を広げているのである。情報が電波に乗り、活字に現れ、それによって私たちは動かされている。そして、自分がどこまで動かされているのかすら、自分で確かめられないほどである。だとすると、現代ほど自分の主体性、価値観を築き上げるのに難しい時代はないのである。                    (町田静夫「成熟できない若者たち」講談社) 【問1】この文章の内容として最も適切なものはどれか。 1.今は昔に比べて規制の少ない個人主義の社会であるから、主体性や自分の価値観を持つことは容易になっている。 2.今は権力やモラルに代わって情報に支配されるようになり、かえって主体性や独自の価値観を持ちにくくなった。 3.我々は、社会にあふれる情報に動かされずに、自分自身にとって本当に価値あるものを主体的に選ぶべきである。 4. 我々は、目にみえる権力や規制に支配されないように、自分の主体性や価値観をしっかりと築き上げるべきである。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。  今はどうか知りませんが、旧ソ連では、絵描きであることが尊ばれそうです。ただし、体制的でないといけませんが……。ともかく「あの人は芸術家だから」とか「あの人はバレリーナだから、配給より少しよけいに食べさせてやらないとかわいそうだ」ということがあったといいます。ニューヨークでも、アーチストのためのマンションというのがありました。職業はみんな平等なのに、アーチストと名のつく仕事についている人は優遇されて(注1)安く住むところが用意されているのだそうです。  日本では、優遇どころか、たとえば義務教育の教科の中から、美術の時間は無くなるか、もしくは減らされています。国策として科学的発見を願う時代に、「美」などは迅速うえんな(注2)ことのように思われ、直接コンピューターの教育を徹底すればより足りる、と考えられているようですが、わたしにはそう思えません。科学的にも、芸術的にも「美しいものを創造しよう」とする感性と執拗しつような努力が両輪となって、新しい境地を開くのです。                                                                      (安野光雅『絵のある人生』岩波書店) (注1)優遇する:ほかの人よりも良い待遇をする (注2)迅速うえんな:すぐに役には立たない 【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. 外国と比べ、日本では芸術が軽視されているが、芸術に限らず何かを創造するためには「美」に対する感性を育てることが必要である。 2.日本の義務教育で美術の時間が減らされているのは、科学的な発見を重視し、コンピューターの教育が徹底されるようになったからである。 3.日本でも外国のように、絵描きやバレリーナを優遇し、アーチストに安く住むところを提供すべきである。 4. 外国と違って、日本では芸術は不要なものと思われがちだが、「美」は人の心を豊かにするために重要なものである。       【答え】 【問1】 2.今は権力やモラルに代わって情報に支配されるようになり、かえって主体性や独自の価値観を持ちにくくなった。 【問2】 1. 外国と比べ、日本では芸術が軽視されているが、芸術に限らず何かを創造するためには「美」に対する感性を育てることが必要である。

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【練習18】内容理解(中文)

【問題1】次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。  ある新聞記事によると、この4月から新入社員しんにゅうしゃいんとして働きだした若者わかもののうち、かなりの人数にんずうが「そろそろ今の会社を辞めよう」と考えているという。その中の一人の主張しゅちょうは次のようなものだ。  大学時代の専門を生いかした仕事につくつもりで今の会社を選び、新しい技術の研究に関する仕事を希望していた。ところが、実際に与えられたのは、修理しゅうり用の部品を管理する仕事だった。必要な部品の種類や量を確認し、パソコンで資料を作り、工場に連絡するといったことをしている。同じことを繰り返すだけでつまらない。もっと自分が生かせる他の会社に移りたい。  ①彼が「やりたいのにやらせてもらえない」という仕事は、本当に彼が満足できる仕事なのだろうか。仕事がおもしろいかどうかは、実際にやってみなければわからない。実際にその仕事についたとしても、②「こんなはずじゃなかった」と思う可能性もある。  会社という組織そしきでは、希望するかしないかに関かかわらずさまざまな仕事が経験でき、多くの仕事と出会える。仕事にどう取とり組くむか次第で、働く前に想像した「やりたいこと」以上におもしろい仕事が見つけられるかもしれない。  仕事とは、経験を重ねる中で「こういう仕事ではこういう工夫ができる」と自らが発見していくものだ。仕事のおもしろさは、積つみ重かさねがあってこそわかるものだといえるだろう。 【問1】①彼とは、どのような人か。 1. 仕事を辞めたばかりで、新しい仕事を探している若者 2. 大学時代に、修理しゅうり用の部品について研究していた若者 3. 仕事の経験は短いが、仕事を辞めるつもりでいる若者 4. パソコンで資料を作ることが苦手で、苦労している若者 【問2】②「こんなはずじゃなかった」とはどういう意味か。 1. やりたかった仕事はおもしろいと思っていたのに、おもしろくない。 2. やりたい仕事をやらせてもらえると思っていたのに、やらせてもらえない。 3. やっている仕事が嫌きらいだと思っていたのに、好きになった。 4. やりたい仕事はできないと思っていたのに、その仕事につけた。 【問3】 筆者がこの文章で最も言いたいことは何か。 1. 専門を生かした仕事につくには、大学時代に専門性を身につけたほうがいい。 2. 会社組織そしきに入る前に、自分を生かせるのはどんな仕事かを知るべきだ。 3. やりたい仕事より、やりたくない仕事のほうがおもしろいに違いない。 4. 自分に合った仕事かどうかは、ある程度続けてやってみなければわからない。       【答え】 【問1】 3. 仕事の経験は短いが、仕事を辞めるつもりでいる若者 【問2】 1. やりたかった仕事はおもしろいと思っていたのに、おもしろくない。 【問3】 4. 自分に合った仕事かどうかは、ある程度続けてやってみなければわからない。

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【練習17】情報を探し出す

【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 【問1】このクーポンを1枚持っている。使い方として正しいものはどれか。 1. 3月31日午前9時にこのセットを2つ注文する。 2. 4月10日午後6時にこのセットを2つ注文する。 3. 3月27日午後3時にこのセットを2つ注文する。 4. 3月5日午前10時半にこのセットを3つ注文する。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 【問2】サッカースクールに子供を入会させたい。どうすればいいか。 1. 水曜日、15時に森山公園のグラウンドに行って申し込む。 2. 入会希望日の前日までにミヤモリサッカークラブに電話して申し込む。 3. 5月12日までにミヤモリサッカークラブに電話して申し込む。 4. 入会希望日の前日までに森山公園のグラウンドに行って申し込む。         【答え】 【問1】 3. 3月27日午後3時にこのセットを2つ注文する。 【問2】 2. 入会希望日の前日までにミヤモリサッカークラブに電話して申し込む。

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