【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 今の日本人の欲望は留とどまるところを知りません。常に新しい物を欲しがる。美味おいしい物ばかりに目移めうつりする。身みの丈たけ(注1)以上の生活を求め続けている。そして子供には過度かどの期待をかけ、能力以上の成果を望む。果たしてそこに本当の幸福があるのでしょうか。 ほんのつい最近まで、日本人は身の丈に合った慎つつましい(注2)生活を送っていました。少なくとも私が幼少ようしょうの頃ころはそうでした。背伸せのびをすることなく、不満を口にすることなく、慎ましい暮らしの幸せを感じていました。 かつてのような貧しい暮らしが良いというのではありません。ただ、身の丈に合わない生活には、きっと大きな落おとし穴あながある。そんな気がするのです。 (注1)身みの丈たけ:身長 (注2)慎つつましい:ぜいたくでない 【問1】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. 昔は貧しかったが、今は欲しい物が何でも手に入り、現代の日本人は幸福である。 2. 少し前まで日本人は貧しい暮らしをしていて、あまり幸福とは言えなかった。 3. 今の日本人は背伸せのびして良い生活を求めているが、それでは幸福になれないだろう。 4. 筆者が子供の頃は、自分の生活に満足しながら生活していて、幸福だった。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 みなさんは、そもそも何のために文章を書くのでしょうか。 もし、私自身が同じ質問を受けたら、「自分を表現し、他者たしゃと関かかわりながら生きていくため」と答えます。学校の教科書や参考書をいくら読んでも、それだけでは他者との関わりは生まれてきません。知識として知ることと他者と関わるということは、質的しつてきに全く別次元じげんのことだからです。知識をいくら積つみ重かさねても、他者と関わることは永遠にできないでしょう。 理解し感動したことや一生懸命いっしょうけんめいに考えたことを、拙つたなくても(注1)いいから、試行錯誤しこうさくご(注2)しながらでもいいから、誰かにきちんと「伝える」練習をしてみましょう。それは、きっと社会に働きかけ、他の人々と共に生きていく練習にもなるでしょう。「書く」という行為こういは、静かに自分の内面ないめんを見つめることでありながら、同時に社会に向けて行動する第一歩にもなり得るのです。 (注1)拙つたない:下手だ (注2)試行錯誤しこうさくご:いろいろやってみて失敗しながら目的に近づいていくこと 【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. 書くときには「何のために文章を書くのか」をよく考えることが大切だ。 2. 書くことは、誰かにきちんと「伝え」、社会に向けて行動することにつながる。 3. 教科書や参考書で勉強しても、知識が増えるだけで、書くことは上手にならない。 4. 書くことによって人は成長し、自分の内面を見つめられるようになる。 【答え】 【問1】 3. 今の日本人は背伸せのびして良い生活を求めているが、それでは幸福になれないだろう。 【問2】 2. 書くことは、誰かにきちんと「伝え」、社会に向けて行動することにつながる。
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【練習6】比喩・ほかのものにたとえる②
【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 スポーツをやる目的やかかわり方は種々多様しゅじゅたようである。オリンピックで金メダルを争うような熾烈しれつなスポーツもあれば、勝敗はともかくみんなで楽しく遊べばよいというスポーツもある。健康けんこうのため、あるいはレクリエーションのためにというスポーツのある一方で、スポーツが仕事というプロスポーツも存在している。しかしやり方や目的は違え、どれもスポーツであることには変りはない。 レベルは違ってもスポーツはスポーツなのであり、そのレベルから少しでもうまくなり、強くなろうとするやり方は基本的きほんてきには違いのないものである。頂点に通じる長い山道のどこを歩いているかの違いであり、けわしさや空気の薄さは上にいくほどつらくはなるが、歩いて進むことや歩き方には変りはない。そしてどこで立ち止まっても山の空気は新鮮しんせんで、景色は美しい。その人その人によって、どの高さで楽しんでもいいものだし、そして誰にでももう少し高く登ってみたいと思わせるのがスポーツというものなのである。 【問1】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. 登山は、どんな人でも楽しむことができ、誰もがより高いところを目指そうとする。 2. 登山というスポーツは、上にいくほど苦しくなるが、どこにも楽しさはある。 3. スポーツとは、どのレベルでも楽しさがあり、少しでも上達したいと思うものである。 4. スポーツにはさまざまなレベルがあるが、楽しくないものはスポーツではない。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 なんかの本で読んだ話。ある山の麓ふもと(注1)で、おじいさんと孫が、山鳩やまばと(注2)の雛ひな(注3)を育てていた。その山の反対側に、別のおじいさんと孫がいて、こっちは鷹たか(注4)の雛を育てていた。それぞれの雛が成長して、飛べるようになったんで、ある日、空に放してやった。そしたら、鷹が山鳩を食べてしまった。山のこっち側では、山鳩が喰くわれたって泣いた。向こう側では、鷹がはじめて餌えさを獲とったって喜んだ。ひとつの現象なのに、山のこっちと向こうでは、まるっきり正反対のことが起こったってことになる。 妙みょうな話だけど、人生の喜びや悲しみは、根本的こんぽんてきにそういうものだ。この世で起きることには、本来、何の色も着いていない。 そこに、喜びだの悲しみだのの色を着けるのは人間だ。 (注1)麓ふもと:山の下の部分 (注2)山鳩やまばと:山に住む鳥 (注3)雛ひな:鳥の子供 (注4)鷹たか:肉食の鳥で、山鳩より大きい 【問2】の文章の内容として最も適切なものはどれか。 1. 住んでいるところが変われば、同じ現象でも違って見えるものだ。 2. 人生にうれしいことも悲しいこともあるのは、しかたがないことだ。 3. いくら人が喜んだり悲しんだりしても、起きたことはどうすることもできない。 4. 世の中で起きる物事は、立場によって見え方や意味が変わってくる。 【答え】 【問1】 3. スポーツとは、どのレベルでも楽しさがあり、少しでも上達したいと思うものである。 【問2】 4. 世の中で起きる物事は、立場によって見え方や意味が変わってくる。
Continue reading【練習5】比喩・ほかのものにたとえる①
【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 雨が降れば傘をさす。傘がなければ風呂敷ふろしきでもかぶる。それもなければぬれろしか仕方がない。 雨の日に傘がないのは、天気のときに油断ゆだんして、その用意をしなかったからだ。雨にぬれて、はじめて傘の必要を知る。そして次の雨にはぬれないように考える。雨があがれば、何をおいても傘の用意をしようと決意けついする。これもやはり、人生の一つの教えである。 わかりきったことながら、世の中にはそして人生には、晴れの日もあれば雨の日もある。好調こうちょうの時もあれば、不調ふちょうの時もある。にもかかわらず、晴れの日が少しつづくと、つい雨の日を忘れがちになる。好調の波がつづくと、ついゆきすぎる。油断する。これも、人間の一つの姿すがたであろうか。 【問1】この文章の内容として最も適切なものはどれか。 1. 雨の日に傘を持っていないのは、つい油断ゆだんしてしまうからである。 2. 人生がうまく行っている時は、悪い時に備える心を忘れがちだ。 3. 人は、雨があがると、いつもつい傘をどこかに忘れて来てしまう。 4. 人生が好調こうちょうな時は晴れの日が続くので、傘を準備しておく必要はない。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 足が速い人は、生まれつき速い。遅い人は、生まれながらにして遅い。特に短距離走たんきょりそうはポテンシャルの勝負―。 そう思っている方が多いでしょうし、私もつい数年前まではそう思っていました。そして、ある面ではやはりその通りなのです。生まれ持った骨格こっかくや腱けん、筋肉きんにくなどの質によって、足の速さはかなりの部分まで決まってしまいます。 車と同じで、エンジンの性能を超えた走りはできません。 ただし、多くの人は、性能を限界まで引き出していないのです。また、エンジンの性能がアップしなくても、タイヤを履はき替かえたり、運転テクニックを上達させたりと、スピードをアップさせる方法はほかにいくらでもあるのです。 【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. 車の速さは、エンジンの性能によって決まる。 2. 足が速いか遅いかは、生まれながらにして決まっている。 3. 車のスピードをアップさせる方法は、いろいろある。 4. 足が遅いと思っている人も、工夫すればもっと速くなれる。 【答え】 【問1】 2. 人生がうまく行っている時は、悪い時に備える心を忘れがちだ。 【問2】 4. 足が遅いと思っている人も、工夫すればもっと速くなれる。
Continue reading【練習3】言い換え・ほかの言葉で言い換える①
【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 わたしはふつう、視野しやに入っているものはみんな見ている、と思いやすいのですが、視野に入っていても注意していなければ見えないものです。普段でもそうです、自分が足を怪我けがすると、町の中には足を怪我した人が思いの外ほかに多いことに気がつきます。よく若者わかものが電車に乗って老人に席を譲ゆずらないといいますが、あれは老人は網膜もうまくの上には映っていても、意識のアンテナが働いていないのだと思います。若者には同世代せだいの若者がよく目についたのは、自分の経験からも分かります。 【問1】この文章の内容として最も適切なものはどれか。 1. 若者が老人に席を譲ゆずらないのは、老人が視野しやに入っていないからである。 2. 若者は同世代せだいの若者に対してだけ意識のアンテナを働かせているのである。 3. 目に入ったものでも、意識を働かせていないと、実は見えていないのである。 4. 我々われわれは、何に対しても、意識のアンテナをよく働かせなければならない。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 ニュースの価値かちや情報じょうほうを決めるのは、客観的きゃっかんてきな基準きじゅんやデータだけではなく、たまたまそのニュースを担当たんとうした人の感情かんじょうや好すき嫌きらいが大きく働いている。この「感情かんじょうや好き嫌い」は、「主観しゅかん」と言い換えることもできる。客観きゃっかんの反対。つまりテレビのニュースや新聞の記事は、何を報道ほうどうするかしないか、何をニュースにするかしないかを決めるその段階だんかいで、もう客観的きゃっかんてきなどというレベルではない。 【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. ニュースは、その内容を選択する時点から報道ほうどうする側の主観しゅかんが入っている。 2. ニュースの価値は、それが客観的きゃっかんてきであるかどうかによって決まる。 3. ニュースの担当者たんとうしゃは、自分の感情かんじょうや好き嫌いに気をつけるべきだ。 4. ニュースは、客観的な基準きじゅんを気にせず、主観的に報道すればよい。 【答え】 【問1】3. 目に入ったものでも、意識を働かせていないと、実は見えていないのである。 【問2】1. ニュースは、その内容を選択する時点から報道する側の主観が入っている。
Continue reading【練習2】対比・ほかのものと比べる②
【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 人の嫌いやがる仕事を進んで引き受けたり、お年寄りやハンディキャップをもつ人を的確にお世話するボランティアの姿すがたを見ていると、「すごい。自分にはできない」と感じてしまう人は多いかもしれません。 でも、こうした行動や態度たいどは活動をしていくなかで徐々じょじょに身についていくものです。ボランティアをしているのは特別、正義感せいぎかんが強いやさしい人ばかりというわけではありません。 ボランティアを始めた動機どうきに「おもしろそうだから、興味きょうみがあったから」と、好奇心こうきしんや探求心たんきゅうしんをあげる人はたくさんいます。責任をもって活動できるなら、きっかけは何でもいいのです。むしろ、「よいことをする!」という気負きおいがない分、自然体しぜんたいでボランティアに関かかわれる人も多いのです。 【問1】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. 特別な人でなくても、責任感さえあれば、誰でもボランティア活動はできる。 2. お年寄りやハンディキャップをもつ人を的確に世話できる人は、ボランティア活動に向いている。 3. 正義感せいぎかんや責任感はなくても、もっと気軽きがるにボランティア活動に参加してほしい。 4. 「よいことをする!」という気持ちが強くなければ、ボランティアはできない。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 近代以前の社会では、職業はおのずと定さだめられていることが多く、選択せんたくの幅はきわめて小さかった。さらに、生まれて死ぬまで同じコミュニティ(注1)のなかで暮らす人が多かった。 それに対して近代社会では、人びとは自由に職業を選択できる。また国内なら自由に移動することもできるし、自由に起業きぎょうしたり、趣味やボランティアのサークルをつくって活動することもできる。 つまり、近代社会では一人ひとりの「自由」という理念が大切にされ、さまざまな自由な活動が保証ほしょうされている。そしてそれに対応して、社会の側も、不特定多数ふとくていたすうの人とやモノや情報がさまざまに行ゆき交かう空間(注2)となっているのである。 (注1)コミュニティ : 地域社会 (注2)行ゆき交かう : 行ったり来たりする 【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. 近代以前、人はずっと移動せずに暮らしてきたが、近代以降は移動の自由を得た。 2. 近代社会では個人の自由が重視され、職業選択や移動等の活動も自由になった。 3. 近代以前は自由がなかったため、近代社会の人びとはそれを非常に大切に考えている。 4. 近代社会になって自由が保証されたが、人も情報も多すぎて社会が不安定になった。 【答え】 【問1】1. 特別な人でなくても、責任感さえあれば、誰でもボランティア活動はできる。 【問2】2. 近代社会では個人の自由が重視され、職業選択や移動等の活動も自由になった。
Continue reading【練習4】言い換え・ほかの言葉で言い換える②
【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 人間は何であれ、自由が好きです。「自由」とは「自分勝手じぶんかって(注1)」と考えてもらってもいいでしょう。人間は自分勝手を好みます。だが、他人の勝手になることを嫌います。憎みます。誰もが自分勝手に振ふる舞まおうとすると、他人の勝手と衝突しょうとつします。自分の勝手を通そうとすると、他人の勝手を押しとどめなければなりません。またどんなに自分の勝手を押おし通とおそうとしても、相手のほうが強力ならば、相手の勝手に押おさえ込こまれてしまうことになります。「自由」になろうと思うと、やっかいだということがわかるでしょう。 注1)自分勝手:他人のことは考えず、自分の思いどおりに行動すること。 【問1】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. 人は皆自由になりたいと考えるが、自分勝手じぶんかってな行動はやめなければならない。 2. 人は何かをさせられるのは嫌だが、完全に自由になることを好むわけでもない。 3. 人が各人の自由を勝ち取るためには、ほかの人と衝突しょうとつすることが重要である。 4. 人は皆自由になりたいと考えるが、他人と衝突するので大変だ。 【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。 できる人と思わせるためには下準備が必要である。しかし、実は最大の下準備は、何といっても「自分を知る」ことである。 というのは、できないものをできるように見せるのはかなり難しいが、自分の長所を前面に出せば、できるように見せるのはそう難しくないということがある。もう一つは、人間というのは、よほど嫌いな相手でない限り、相手の短所より長所のほうに目が行くよう出来ていることが、さまざまな心理実験で明らかにされている。いわゆる「隣となりの芝生しばふは青い」現象である。 だから、欠点を隠かくそうとするより、長所を目立つようにしたほうが、できる人に見えるのだ。現実に、社会のほうも、欠点のない何でも屋のような人間より、多少欠点はあっても、長所の抜ぬきん出た人間のほうを重用ちょうようするようになってきている。 【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。 1. 自分をよく分析し、欠点が目立たないようにすれば、他人からできる人と思われる。 2. 周囲の人に自分の長所も短所も理解してもらえれば、できる人と思ってもらえる。 3. できる人と思われるには、何かをするとき、十分に準備し、欠点を補う必要がある。 4. できる人と思われるには、自分の長所を周りの人によくわかるようにするのがよい。 【答え】 【問1】 4. 人は皆自由になりたいと考えるが、他人と衝突するので大変だ。 【問2】 4. できる人と思われるには、自分の長所を周りの人によくわかるようにするのがよい。
Continue reading【練習10】あとの内容を予測する② – Đoán nội dung tiếp sau ②
読む前に 「父の部屋には古い時計があるのですが、ずっと動かしていませんでした。でも、…」 A. 時計は動いていました。 B. 時計は動いていませんでした。 【問題】 1か月ぐらい前の夕方、ちょっと大きな地震がありました。そのとき、私も、一緒に住んでいる母も外出をしていて、家にはいませんでした。 その晩のことです。私は何だかよく眠れなくて、ベッドでラジオを小さい音で聞きながらうとうと(注1)していました。夜中に何回か古い柱時計(注2)が鳴るのを聞いたように思いました。私はラジオの中で時計が鳴っているんだと思いました。 ところが、次の朝、別の部屋で寝ていた母が言いました。「きのうの晩、柱時計が鳴る音が聞こえなかった?」 『まさか、うちのは何年も使っていないんだもの。鳴るはずがないよ。』亡くなった父の部屋には古い柱時計があるのですが、ずっと動かしていませんでした。でも、母も時計の音を聞いたのです。私は不思議に思いました。 そこで、二人で時計のある部屋に行ってみると、時計はほんとうに動いていました。私たちはびっくりしましたが、すぐにわかりました。前の日の地震で家が揺れたとき、時計のありこ(注3)も揺れ、自然に動き出して、時計が鳴ったのです。 母は、父がこの時計を大切に使っていたことを思い出し、「この時計はまだ動くんだって伝えたかったのかもしれないね」と言って笑いました。それからは、またこの時計を動かして使っています。父も喜んでいるかもしれません。 (注1)うとうと:眠りが浅い様子 (注2)柱時計:イラスト参照 (注3)ありこ:イラスト参照 【ふりがな】 1か月ぐらい前の夕方ゆうがた、ちょっと大きな地震じしんがありました。そのとき、私も、一緒いっしょに住んでいる母も外出がいしゅつをしていて、家にはいませんでした。 その晩ばんのことです。私は何だかよく眠ねむれなくて、ベッドでラジオを小さい音で聞きながらうとうと(注1)していました。夜中よなかに何回なんかいか古い柱時計はしらどけい(注2)が鳴なるのを聞いたように思いました。私はラジオの中で時計とけいが鳴なっているんだと思いました。 ところが、次つぎの朝、別の部屋へやで寝ねていた母が言いました。「きのうの晩ばん、柱時計はしらどけいが鳴なる音が聞こえなかった?」 『まさか、うちのは何年も使っていないんだもの。鳴なるはずがないよ。』亡くなった父の部屋へやには古い柱時計はしらどけいがあるのですが、ずっと動かしていませんでした。でも、母も時計とけいの音を聞いたのです。私は不思議ふしぎに思いました。 そこで、二人で時計とけいのある部屋へやに行ってみると、時計とけいはほんとうに動いていました。私たちはびっくりしましたが、すぐにわかりました。前の日の地震じしんで家が揺ゆれたとき、時計とけいのありこ(注3)も揺ゆれ、自然しぜんに動き出して、時計とけいが鳴なったのです。 母は、父がこの時計とけいを大切たいせつに使っていたことを思い出し、「この時計とけいはまだ動くんだって伝えたかったのかもしれないね」と言って笑わらいました。それからは、またこの時計とけいを動かして使っています。父も喜よろこんでいるかもしれません。 (注1)うとうと:眠りが浅あさい様子ようす (注2)柱時計はしらどうけ:イラスト参照さんしょう (注3)ありこ:イラスト参照さんしょう 【問】私は不思議に思いました。とあるが、なぜか。 1.動いていないはずの時計とけいの音が聞こえたから。 2.別の部屋へやにいた母がラジオの時計とけいの音を聞いていたから。 3.母が父の使っていた時計とけいを動かしていたから。 4.亡くなった父の時計とけいが止まっていたから。 ここに気を付けよう 接続詞・副詞・文末の表現などは、あとの内容の予測のヒントになる。 例: きっと → 〜にちがいない 〜はずだった → [実際は違う] Khác với thực tế (きれい)だった → [今はそうではない] Bây giờ thì không phải như vậy 【答え】 1.動いていないはずの時計の音が聞こえたから。
Continue reading【練習14】消したいもの
「あなたが一番消したいものは何ですか。」 鉛筆や消しゴムを作っている会社が日本人1,000人にアンケートをした。 いろいろな答えがあった。 一番多いのは男の人も女の人も今までにした恥ずかしいことだった。恥ずかしいことを消したいと思う人は100人以上いた。恥ずかしいことの中には、「授業中寝てしまって、寝言を言って、みんなに笑われた。」「学校の大切な式で司会をしたとき、ズボンのチャックが開いていた。」「雨の日に道を歩いていて、マンホールに落ちてしまった。たくさんの人が見ていた。」など、若い人の例が多い。年を取ると、恥ずかしいことがたくさんあって、きっと思い出すのが大変なのだ。 男の人が消したいもので2番目に多いのが銀行や人から借りたお金、3番目が悪い政治家だった。女の人の答えで2番目に消したいのは顔にあるにきびやしみなど、3番目は体の脂肪だった。学校に通っている子どもたちがいちばん消したいのは学校の成績、次に入学試験、3番目が恥ずかしいことだった。 ほかに「今までの人生」「病気」「年」「失恋」などの答えもかなりあった。 また、「禁煙の約束」「主人のゴルフの予定」「結婚の約束をした恋人」「嫌いな課長の髪」など、おもしろい答えもいろいろあった。 何でも消せる消しゴムを発明したら、きっとたくさん売れるだろう。でも、気をつけたほうがいい。「嫌いな人」を消したいと思っている人もいる。 【ふりがな】 「あなたが一番消したいものは何ですか。」 鉛筆えんぴつや消しゴムを作っている会社が日本人1,000人にアンケートをした。 いろいろな答えがあった。 一番多いのは男の人も女の人も今までにした恥はずかしいことだった。恥はずかしいことを消したいと思う人は100人以上いた。恥はずかしいことの中には、「授業中寝じゅぎょうちゅうねてしまって、寝言ねごとを言って、みんなに笑われた。」「学校の大切な式で司会をしたとき、ズボンのチャックが開いていた。」「雨の日に道を歩いていて、マンホールに落ちてしまった。たくさんの人が見ていた。」など、若い人の例が多い。年を取ると、恥はずかしいことがたくさんあって、きっと思い出すのが大変なのだ。 男の人が消したいもので2番目に多いのが銀行や人から借りたお金、3番目が悪い政治家せいじかだった。女の人の答えで2番目に消したいのは顔にあるにきびやしみなど、3番目は体の脂肪しぼうだった。学校に通っている子どもたちがいちばん消したいのは学校の成績せいせき、次に入学試験、3番目が恥はずかしいことだった。 ほかに「今までの人生」「病気」「年」「失恋しつれん」などの答えもかなりあった。 また、「禁煙きんえんの約束」「主人のゴルフの予定」「結婚の約束をした恋人」「嫌いな課長の髪」など、おもしろい答えもいろいろあった。 何でも消せる消しゴムを発明したら、きっとたくさん売れるだろう。でも、気をつけたほうがいい。「嫌いな人」を消したいと思っている人もいる。 【もんだい1】①〜⑤にことばを書いてください。 消したいもの 1番 2番 2番 男の人 ① 借りたお金 ② 女の人 ③ ④ 体の脂肪 子ども 成績 ⑤ 恥ずかしいこと 【もんだい2】正しいものに〇、正しくないものに✖を書いてください。 1.( )男の人はお金は要らないと思っている。 2.( ) きれいになりたいと思っている女の人が多い。 3.( ) 子どもはみんな学校の勉強が好きで、成績もいい。 4.( )アンケートをした会社は何でも消せる消しゴムを売る予定だ。 【こたえ】 【もんだい1】①〜⑤にことばを書いてください。 ①恥ずかしいこと ②悪い政治家 ③恥ずかしいこと ④にきびやしみ ⑤入学試験 【もんだい2】正しいものに〇、正しくないものに✖を書いてください。 1.✖ 2.〇 3.✖ 4.✖
Continue reading【練習13】 大声大会
わたしの町では毎年12月に大声大会おおごえたいかいがあります。大きい声で何か叫んで、1年の嫌なことを忘れるのです。 去年のテーマは「あの人に言いたい」でした。ほとんどの人は「税金を下げろ!」とか「首相はやめろ!」とか叫びましたが、外国から参加したある女の人は「トーホク! ガンバロー!」と叫びました。この声が大会でいちばん大きい声でした。大きい地震があった東北とうほくの人に「元気を出して、いっしょに頑張りましょう」と言いたかったのです。 ほかに、「山本やまもと! 貸した金返せ!」「給料を上げろ!」「良子よしこ、結婚してやまもとくれ!」「社長! 下手な英語を使うなー!」「幸子さちこ、かんにーん!」などがありました。「かんにーん」は大阪弁おおさかべんで「すみません」という意味です。このおおさかべん人は何か幸子さちこさんに謝りたいことがあるのでしょう。 毎日の生活では大声で叫ぶチャンスがありません。1年に一度、大声で叫んで、1年のストレスを全部出してしまいましょう。 【ふりがな】 わたしの町では毎年12月に大声大会おおごえたいかいがあります。大きい声で何か叫さけんで、1年の嫌いやなことを忘れるのです。 去年のテーマは「あの人に言いたい」でした。ほとんどの人は「税金ぜいきんを下げろ!」とか「首相しゅしょうはやめろ!」とか叫さけびましたが、外国から参加したある女の人は「トーホク! ガンバロー!」と叫びました。この声が大会でいちばん大きい声でした。大きい地震じしんがあった東北とうほくの人に「元気を出して、いっしょに頑張りましょう」と言いたかったのです。 ほかに、「山本やまもと! 貸した金返かね かえせ!」「給料を上げろ!」「良子よしこ、結婚してやまもとくれ!」「社長! 下手な英語を使うなー!」「幸子さちこ、かんにーん!」などがありました。「かんにーん」は大阪弁おおさかべんで「すみません」という意味です。このおおさかべん人は何か幸子さちこさんに謝あやまりたいことがあるのでしょう。 毎日の生活では大声で叫さけぶチャンスがありません。1年に一度、大声で叫んで、1年のストレスを全部出してしまいましょう。 【もんだい1】正しい答えを選んでください。 去年の大会で1番になった人のことばはどれですか。 ① 税金ぜいきんを下げろ ② 首相はやめろ ③ トーホク! ガンバロー 「山本やまもと! 貸した金返かね かえせ!」はだれがだれに言ったことばですか。 ① 友達→山本君 ② 山本君→友達 ③ 銀行→山本君 大会で叫んだ人はどの人ですか。 ① 東北の人 ② 下手な英語を使う社長 ③ 大阪弁おおさかべんの男の人 【もんだい2】大声大会に参加したら、どんなにいいことがありますか。 正しいものに〇、正しくないものに✖を書いてください。 1.( ) 嫌なことが忘れられる。 2.( ) ストレスを出してしまうことができる。 3.( )給料が上がって、税金ぜいきんが下がる。 【こたえ】 【もんだい1】正しい答えを選んでください。 1)3 2)1 3)3 【もんだい2】 正しいものに〇、正しくないものに✖を書いてください。 1)〇 2)〇 3)✖
Continue reading【練習19】人生
では、新郎新婦をご紹介いたします。 新郎しんろうの宝田太郎たからだたろうさんは1971年に京都きょうとでお生まれになりました。ことし29歳でいらっしゃいます。1993年にさくら大学を卒業なさって、 アップル銀行に入られました。銀行に入られて2年目にアメリカの大学に留学なさいました。学生時代は相撲をなさっていて、料理もお上手だそうです。 新婦しんぶの花子はなこさんは1965年にニューヨークでお生まれになり、パリ、ロンドン、モスクワで子ども時代を過ごされました。国際人でいらっしゃいます。ご趣味はいろいろなものをデザインすることで、 特に帽子のデザインがお好きだそうです。いつかご自分の店を持ちたいとおっしゃっています。 宝田部長たからだ ぶちょう はきょう退職なさいます。銀行に入られてから25年、世界中のいろいろな支店にお勤めになりました。働きながら見たこと、考えたことをお書きになり、本を出されました。書きたいことがまだまだあるので、書く時間を作るために、この度銀行をやめる決心をなさいました。デザイナーの花子夫人はなこふじんも賛成なさっているそうです。宝田たからださんの新しいご出発をお祝いし、ご成功をお祈りして、乾杯! 宝田君たからだ くん、花子はなこさん、ご結婚50周年おめでとうございます。「50年」と口で言うのは易しいですが、ほんとうに長い年月です。50年間いろいろなことがあったでしょう。たぶんけんかもなさったと思います。 これからも健康に気をつけて、お二人で人生を楽しみながら、60周年、70周年をお迎えください。乾杯! 宝田たからださん、どうしてこんなに急にいってしまわれたのですか。何を話せばいいか、ことばが見つかりません。たぶん去年先にいかれた奥様にお会いになりたくて、急がれたのですね。わたしたちはとても寂しいですが、宝田たからださんは今ごろ奥様とお会いになって、いろいろなお話をなさっているのでしょう。 どうぞ安らかにお眠りください。 【ふりがな】 では、新郎新婦しんろうしんぷをご紹介いたします。 新郎しんろうの宝田太郎たからだたろうさんは1971年に京都きょうとでお生まれになりました。ことし29歳でいらっしゃいます。1993年にさくら大学を卒業なさって、 アップル銀行に入られました。銀行に入られて2年目にアメリカの大学に留学なさいました。学生時代は相撲すもうをなさっていて、料理もお上手だそうです。 新婦しんぶの花子はなこさんは1965年にニューヨークでお生まれになり、パリ、ロンドン、モスクワで子ども時代を過ごされました。国際人でいらっしゃいます。ご趣味はいろいろなものをデザインすることで、 特に帽子のデザインがお好きだそうです。いつかご自分の店を持ちたいとおっしゃっています。 宝田部長たからだ ぶちょう はきょう退職たいしょくなさいます。銀行に入られてから25年、世界中のいろいろな支店にお勤めになりました。働きながら見たこと、考えたことをお書きになり、本を出されました。書きたいことがまだまだあるので、書く時間を作るために、この度銀行をやめる決心をなさいました。デザイナーの花子夫人はなこふじんも賛成さんせいなさっているそうです。宝田たからださんの新しいご出発をお祝いし、ご成功をお祈りして、乾杯かんぱい! 宝田君たからだ くん、花子はなこさん、ご結婚50周年おめでとうございます。「50年」と口で言うのは易しいですが、ほんとうに長い年月です。50年間いろいろなことがあったでしょう。たぶんけんかもなさったと思います。 これからも健康けんこうに気をつけて、お二人で人生を楽しみながら、60周年、70周年をお迎えください。乾杯かんぱい! 宝田たからださん、どうしてこんなに急にいってしまわれたのですか。何を話せばいいか、ことばが見つかりません。たぶん去年先にいかれた奥様おくさんにお会いになりたくて、急がれたのですね。わたしたちはとても寂しいですが、宝田たからださんは今ごろ奥様おくさんとお会いになって、いろいろなお話をなさっているのでしょう。 どうぞ安らかにお眠りください。 【もんだい】 (1)~(6) にことばか数字を書いてください。 宝田太郎たからだたろう 1971 年 京都で生まれた。 1993 年 (① )を出て、アップル銀行に入った。 (② )年 アメリカの大学に留学した。 (③ )年 花子と結婚した。 (④ )年 (⑤ 歳)で銀行をやめた。 2050 年 (⑥ )のパーティーをした。 2060 年 亡くなった。 2.正しいものに〇、正しくないものに ✖を書いてください。 1.( )太郎と花子は長生きしました。 2.( )太郎は花子より早く死んだ。 3.( ) 太郎はいろいろな会社で働いた経験がある。 【こたえ】 1. ①さくら大学 ②1994 ③2000 ④2018 ⑤47 歳 ⑥結婚 50 周年 2. 1.〇 2.✖ 3.✖
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