【練習19】出張理解・(長文)

【問題1】次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。

 物を買う、という行為は、この国ではなぜかあまりめられない行為こういのようにうけとられています。〈浪費癖ろうひぐせ〉だとか〈衝動買しょうどうがい〉だとか〈無駄遣むだづかい〉だとか、そういう言葉に表現されるように、必要以外のものを買う人間はあまりかんばしい評判ひょうばんを得られません。しかし、以前から思っていることなのですが、物を買う、ということは、決してただお金を浪費し虚栄心きょえいしんを満足させるだけのことではないような気がするのです。

 何かいやなことがあって、むしゃくしゃした気分をおさえるためにショッピングをする人がいます。必要のないものにお金をつかうなんておろかしい行為だと理性的りせいてきな人は言うでしょうが、それでも人間の精神のバランスをとるために費用をかけたと思えば、①それはそれでいいんじゃないでしょうか

 人間は大人になって死ぬまでの間、お金のことで苦労しながら生きてゆきます。生まれながらにして無限のとみを与えられた人は別ですが、ほとんどの人はお金の苦労というものでエネルギーを減らすことになります。そんな中で一瞬いっしゅんふっと、お金のほうが主役で、自分はそれによってふり回されているつまらない存在のように感じられることがあります。

 お金のことで苦労し、血と汗を流している人ほど、どういうものか無駄遣いすることがあるのです。一見いっけん、逆のようですが、②それはお金に対する人間性のささやかな反抗はんこうとでもいえるんじゃないでしょうか。お金を浪費する、やけっぱちになって紙屑かみくずのように遣う、そのことでもって、こちらのほうが主人なんだぞ、お金に使われるんじゃないぞ、と心の中でうっぷんをらしているのかもしれません。お金に復讐ふくしゅうすることで人間性を回復しようとしているのです。

【問1】①それはそれでいいんじゃないでしょうかとあるが、どういうことか。

1. ショッピングで必要なものを買ってもいい。
2. 何かいやなことがあってもいい。
3. むしゃくしゃした気分をおさえなくてもいい。
4. 必要のないものにお金をつかってもいい。

【問2】②それは何を指しているか。

1. お金のことで苦労している人が、無駄遣むだづかいをすること。
2. お金のことで苦労している人が、無駄遣いをしないこと。
3. お金で苦労しないお金持ちが、無駄遣いをすること。
4. お金で苦労しないお金持ちが、無駄遣いをしないこと。

【問3】 この文章で筆者が最も言いたいことは何か。

1. いやなことがあったら、買い物をして精神のバランスをとったほうがいい。
2. お金にふり回される人生にならないよう、お金のつかいすぎに注意すべきだ。
3. お金を浪費ろうひするのは、お金より自分のほうが主役だと言いたい気持ちがあるからだ。
4. お金を遣えば人間性が回復できるのだから、買い物にもっとエネルギーを注ぎたい。

 

 

 

【答え】

【問1】
4. 必要のないものにお金をつかってもいい。

【問2】
1. お金のことで苦労している人が、無駄遣むだづかいをすること。

【問3】
3. お金を浪費ろうひするのは、お金より自分のほうが主役だと言いたい気持ちがあるからだ。

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