【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。
日本で生活している留学生の多くが、「日本人は家族の関係が薄い」という感想を抱くようだ。
一人暮らしをしている大学生があまり家族と連絡をとらないことや、老人ホームなどの施設で暮らすお年寄りが多いことなどから、そう感じるらしい。「経済が発展した結果、昔は強かった家族の人間関係が、だんだん薄く、冷たくなったのだ」という意見もよく聞く。本当にそうなのだろうか。
ある全国調査によると、「あなたにとって何がいちばん大切ですか」という質問に対して「家族」と答えた人の割合は、1978年が23%、1988年が33%、1998年が40%、2008年が46%だった。家族がいちばん大切だと言う考えの人が30年で倍になったことがわかる。
一方、「職場の同僚とのつきあい」「隣近所の人とのつきあい」「親せき」について、「相談したり助けあったりできる関係」にあることが望ましいかどうかを聞いたところ、すべての項目において、「望ましい」と答える人の割合は減少傾向にあった。
【問1】この文章の内容として最も適切なものはどれか。
1. 職場や地域、親せきとのつきあいは薄れているが、家族関係を重視する人の割合が高まっている。 |
2. 経済発展をしても、家族関係や、職場や地域、親せきとの関係の強さはあまり変わっていない。 |
3. 年とともに、職場や地域、親せきとの関係は強まりつつあるが、家族を大切に思う人の割合は増えていない。 |
4. 家族関係だけでなく、職場や地域、親せき関係を重視する人の割合もすべて低下してきている。 |
【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。
目の前の相手が悲しんでいるとき、その自分の感情を思い出していただきたい。同情とか、共感とか、力になってやりたいといった気持ちが起こるだろう。また、人に親切にしたときや贈り物をしたときなど、相手がうれしそうな表情やしぐさをして、喜んでいるとわかれば、自分もうれしくなるだろう。このようにして相手の感情がわかり、それに対して共感する気持ちが生まれれば、それは相手に対する好感情につながる。
だが、喜んでいるのか悲しんでいるのか、さっぱりわからない人の場合はどうだろうか。その人にどう接していいかわからず、共感する気持ちもわからない。なんとなく敬遠(注1)したくなるのではないだろうか。(中略)
とくに若い世代は、感情を表にあらわさない人に対して、「わからない人」という評価を下し敬遠しがちだ。そのため、人と話すときに自分の感情をうまくあらわせない少年少女は、クラスメートたちから仲間はずれにされやすく、ときにはいじめられっ子になったりもする。感情をうまく表にあらわせない人は、対人関係が悪くなりやすいのである。
(注1)敬遠:嫌がって避けること
【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
1. 相手の感情がわからない人は、仲間はずれにされたりいじめられたりする。 |
2. 自分の感情を相手に対して上手に出していけば、良い人間関係を作りやすい。 |
3. 目の前にいる人が自分の気持ちに共感してくれないと、その人との関係が悪くなる。 |
4. 感情を表に出さない人より、表に出す人のほうが人間関係で問題が起きやすい。 |
【答え】
【問1】
1. 職場や地域、親せきとのつきあいは薄れているが、家族関係を重視する人の割合が高まっている。
【問2】
2. 自分の感情を相手に対して上手に出していけば、良い人間関係を作りやすい。