【練習7】疑問提示文①

 【問題1】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。

 今の日本人の欲望はとどまるところを知りません。常に新しい物を欲しがる。美味おいしい物ばかりに目移めうつりする。たけ(注1)以上の生活を求め続けている。そして子供には過度かどの期待をかけ、能力以上の成果を望む。果たしてそこに本当の幸福があるのでしょうか。

 ほんのつい最近まで、日本人は身の丈に合ったつつましい(注2)生活を送っていました。少なくとも私が幼少ようしょうころはそうでした。背伸せのびをすることなく、不満を口にすることなく、慎ましい暮らしの幸せを感じていました。

 かつてのような貧しい暮らしが良いというのではありません。ただ、身の丈に合わない生活には、きっと大きなとしあながある。そんな気がするのです。

(注1)たけ:身長
(注2)つつましい:ぜいたくでない

【問1】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。

1. 昔は貧しかったが、今は欲しい物が何でも手に入り、現代の日本人は幸福である。
2. 少し前まで日本人は貧しい暮らしをしていて、あまり幸福とは言えなかった。
3. 今の日本人は背伸せのびして良い生活を求めているが、それでは幸福になれないだろう。
4. 筆者が子供の頃は、自分の生活に満足しながら生活していて、幸福だった。

【問題2】問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。

 みなさんは、そもそも何のために文章を書くのでしょうか。

 もし、私自身が同じ質問を受けたら、「自分を表現し、他者たしゃかかわりながら生きていくため」と答えます。学校の教科書や参考書をいくら読んでも、それだけでは他者との関わりは生まれてきません。知識として知ることと他者と関わるということは、質的しつてきに全く別次元じげんのことだからです。知識をいくらかさねても、他者と関わることは永遠にできないでしょう。

 理解し感動したことや一生懸命いっしょうけんめいに考えたことを、つたなくても(注1)いいから、試行錯誤しこうさくご(注2)しながらでもいいから、誰かにきちんと「伝える」練習をしてみましょう。それは、きっと社会に働きかけ、他の人々と共に生きていく練習にもなるでしょう。「書く」という行為こういは、静かに自分の内面ないめんを見つめることでありながら、同時に社会に向けて行動する第一歩にもなり得るのです。

(注1)つたない:下手だ
(注2)試行錯誤しこうさくご:いろいろやってみて失敗しながら目的に近づいていくこと

【問2】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。

1. 書くときには「何のために文章を書くのか」をよく考えることが大切だ。
2. 書くことは、誰かにきちんと「伝え」、社会に向けて行動することにつながる。
3. 教科書や参考書で勉強しても、知識が増えるだけで、書くことは上手にならない。
4. 書くことによって人は成長し、自分の内面を見つめられるようになる。

 

 

 

 

【答え】

【問1】
3. 今の日本人は背伸せのびして良い生活を求めているが、それでは幸福になれないだろう。

【問2】
2. 書くことは、誰かにきちんと「伝え」、社会に向けて行動することにつながる。

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