【練習18】主張理解(長文)

【問題1】次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。

 最近の小中学校の様子を取材して驚くのは、学級という子ども集団での人間関係の変わりようだ。1学級当たりの子どもの数は、小学校が平均 28.1 人、中学 33.0 人と、昔に比べ縮んだ。にもかかわらず、クラス全体の一体感は希薄になる一方だと、先生たちはいう。
 小5、小6ともなると、運動のできる子、苦手な子、アニメ好きの子といった小グループに分かれ、違うグループの子との接触はほとんどなくなる。中学校では、同じクラスで「あの子の名前何だっけ?」も珍しくない。
 友達づきあいはおかっぱびっくり(注1)だ。似た者同士のグループも安心できない。どう思われるか気にし、空気を読んでしゃべる。いつも誰かとつながっていないと不安。メールには 30分以内に返信をする。小学生の半数以上が「仲間外れにされないよう話を合わせる」と答えたとの調査がある。その割合は 5年前から 5ポイント増えた。
 ①小さな孤島で羽を寄せ合い、傷つくのを恐れる。学級や学校はいまやストレスいっぱいの空間かもしれない。我慢を重ねた感情はときに破裂し、暴力になり仲間や教師に向かう。グループ内では誰かに「いじめられキャラ(注2)」を演じさせ、発散する。いじめにエスカレートしても、外からは見えにくい。
 のびのびとした人間関係を築く力はなぜ、こんなに弱ったのだろう。
 多くの教師や研究者が指摘するのが家族と地域社会の変容だ。兄弟、祖父母、近所のガキ大将、地域の大人。そうした異質な人とふれあう機会がめっきり減り、子どもは他者との関係のつくり方が未熟なまま、学級集団に放り込まれる。②様々な問題行動の背景を、こうとらえることもできよう。
 文部科学省は、学級の人数の標準を 40人から 35人へと 30 年ぶりに改め、数年かけて学級規模を今よりひと回り小さくする計画だ。それに合わせて、教員の定数も増やそうとしている。    子ども一人ひとりに向き合う時間をもっと確保するため、先生の数は増やすべきだ。だが学級を小さくするだけでよいか。子どもが社会性を身につけられる場になるよう、教室に風を吹き込む必要がある。
 多様な存在と交わる中で、子どもは自己を肯定される経験を重ね、対人関係能力をきたえてゆくものだ。
 増えた先生を臨機応変に組みあわせ、 1学級を複数担任にしたり、子の状況に応じて学級の人数を考えたり。学生や地域のボランティアが入り、子どもとの③斜めの関係を持ち込むことが有効だ。違う学年との交流授業や運動会といった行事も、大事にしたい。
 財源や教育効果をめぐって、少人数学級の議論が今後本格化する。どんな集団のあり方が子どもにとってよいかが、忘れてはならない視点だ。

(朝日新聞 2010年 10月 3日)

(注1) おっかなびっくり:失敗を恐れて、こわごわ何かをすること
(注2) いじられキャラ:仲間からからかわれる役割の人

【問1】 ①小さな孤島で羽を寄せ合い、傷つくのを恐れるとはどういう意味か。

1.似た者同士の小グループを作り、メンバー同士いたわり合い、仲間外れをしないように気をつける。
2.クラスが少人数になった上に、ほかのクラスの人とは接触がないので、数少ない友だちを失わないように気を遣う。
3.話の合う人と作った小グループのメンバーとしかつきあわず、その中で、仲間外れにされないように気を遣う。
4.一人ひとりが孤立し、同じクラスの人の名前もわからないので、不安を感じ、必要以上に誰かとつながっていようとする。

【問2】②様々な問題行動とは、何を指すか。

1.ストレス発散のために、仲間や教師に暴力をふるったり、仲間をいじめたりすること。
2.異質な人とふれあうことを避けるが、接触したときには、けんかをしてしまうこと。
3.ほかのグループの人と話を合わせようとして、ストレスをため、怒りを爆発させること。
4.各グループがクラス全体を支配しようとして、グループ同士が対立すること。

【問3】 斜めの関係の例として最も適当なものはどれか。

1.子どもとその父親。
2.子どもとそのクラスメイト。
3.子どもとクラス担任の教師。
4.子どもと近所の八百屋やおやのおじさん。

【問4】この文章で筆者が最も言いたいことは何か。

1.小中学校の教室で起こっているいじめや暴力という問題に対し、文部科学省は無策である。早急にクラスサイズの縮小と教員の増員を実現し、教室に風を吹き込むべきだ。
2.学級において子どもたちは小グループに分かれ、同じグループ内の人間関係にもストレスを抱えている。このような変化は異質な人とふれあう機会が減ったことに起因する。
3.学校の問題の原因は、家族や地域社会の人間関係の変化にある。国は、学級規模や教員数だけでなく、子どもたちが様々な他者とふれあう機会についても考えるべきだ。
4.小中学校の問題の背景には、地域社会や家庭の変容がある。政府は学級規模を縮小する計画だが、それよりむしろ教員の数を増やして教室に斜めの関係を持ち込むべきだ。

 

 

 

 

【答え】

【問1】
3.話の合う人と作った小グループのメンバーとしかつきあわず、その中で、仲間外れにされないように気を遣う。

【問2】
1.ストレス発散のために、仲間や教師に暴力をふるったり、仲間をいじめたりすること。

【問3】
4.子どもと近所の八百屋やおやのおじさん。

【問4】
3.学校の問題の原因は、家族や地域社会の人間関係の変化にある。国は、学級規模や教員数だけでなく、子どもたちが様々な他者とふれあう機会についても考えるべきだ。

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